八木雄二『中世哲学への招待』 | 紫陽庵 casina d'ortensia
備忘録とギリシア語とラテン語とイタリア語と英語とフランス語 appunti e lingue straniere
RECOMMEND

Material : shepe

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています


2014.09.23 Tuesday - -
八木雄二『中世哲学への招待』

八木雄二『中世哲学への招待ー「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために』平凡社新書 2000

ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスに焦点を当てた本。中世が不当に「中世」として、近世以降の思想家に葬り去られたことをはっきり打ち出して、中世の再発見を目指すもの。
 私には読み解けないところもありましたが、大変よい本でした。

 日本に馴染みの薄い神や社会秩序としての宗教(キリスト教)への目配りが利いています。キリスト教が、単なる宗教ではなく社会秩序の今回を為していた時代的背景を意識しないと、当時の思想がどのような要請に根ざして生まれてきたのかはわからないんですよね。

 たとえば、当時の人々が、(個人的信仰とは無関係に思える、無味乾燥な)「神の存在」証明に躍起になっていたのは、社会を支えるため、つまりその紐帯である教会を権威づけるため、「客観的」証明が求められていたから。

 信仰を支えるために科学的方法論を追求したことが、近代科学の萌芽、ひいては教会の社会的支配の瓦解に繋がっていく。それと同じように、スコトゥスの自由意志の尊重は、個の独立性を強め、信仰からの人々の離反へと繋がることになる。

 スコトゥスの独創的な見解として紹介されているものは、たとえば、

1)原因を三つにわけ、自然現象に「近接原因」という必然的関係を認めたこと
(→近代科学の特徴としての「近接原因の探求」と「自然法則」の概念に繋がる)

2)個別化の原理を、形相(現実態)に求めたこと
(←先立つトマスは、これを質料に求めています)

3)自由意志を理性から独立させたこと

4)瞬間が部分を持つこと(→微分、積分へ)


その他、ほーっと思ったのは、三位一体論と認識論の結びつきの件。
父と子と聖霊は、記憶と理解(理知的はたらき)と愛(意志的はたらき)
という関係で理解されていたんだって。
記憶理解について、ベルクソンとの類似にも少し触れられてました。
2006.11.02 Thursday 21:15 哲学-filosofia-philosophy comments(2)
スポンサーサイト


2014.09.23 Tuesday - -
Comment

実は読みたい本の一冊です。

スコトゥスは、hilarious様のライプニッツの講義で、
『モナドロジー』に入る前の導入として、扱いました。
(本書P.104〜P.120)
トマスの質料起源説が出てきたりして、
今見ると「おー」となります。
(当時は卒論でトマス書く気はなかったので)




>三位一体論と認識論の結びつきの件。
>父と子と聖霊は、記憶と理解(理知的はたらき)と愛(意>志的はたらき)
>という関係で理解されていたんだって。


ほー!!
なんでそうなるのかは勿論分かっていませんが、
そういう考え方がとても新鮮です。

トマスも『神学大全』第1部「神について」(Q.27〜Q43)で取り扱っています。

黒様。 2006.11.2006/11/05 13:11


ぜひ読んでくださいまし。
感想聞かせてね〜♪

ほーってなるでしょ(^^)。
トマスについて、ご教示ありがとうございます。


ahirucci 2006.11.2006/11/06 14:21